事業をスタートさせるうえで、店舗や事務所などのテナント物件選びは極めて重要です。特に浜松のように、住宅地・オフィス街・観光地が混在するエリアでは、物件選び一つでビジネスの成否が大きく左右されることもあります。本コラムでは、浜松でテナント物件を内見する際にチェックすべき具体的なポイントを、数値を交えてご紹介します。
1. 立地と周辺環境の確認
① ターゲット層とのマッチング
まず重要なのが、ターゲットとなる顧客層とエリアの相性です。たとえば、20〜30代をターゲットにしたカフェを開くなら、浜松駅から徒歩5分圏内の鍛冶町エリアや、ザザシティ浜松の周辺が候補になります。一方、40〜60代の女性を中心としたサロンであれば、住吉や萩丘といった住宅地に近いエリアも検討に値します。
② 周辺施設・競合状況
周囲に集客につながる施設（例：駅・商業施設・病院）があるかを確認しましょう。たとえば浜松駅北口側には、年間来場者数が100万人を超える遠鉄百貨店があり、人通りは1日あたり平均2万人前後です。加えて、半径300m圏内に同業種（飲食・美容等）が5店舗以上ある場合は、競合調査の視点も重要になります。
2. 建物の構造・設備チェック
① 建物の老朽化状況
築20年以上の物件は、内外装のメンテナンス状況に差が出やすいため注意が必要です。浜松市中区の中心部には築30〜40年のテナントビルも多く、内見時には**外壁のひび（幅1mm以上）や、室内の床の傾斜（3mm以上）**がないかを確認しましょう。加えて、浜松は年間10回以上台風や強風が襲来する地域のため、防風・防水対策の有無もポイントです。
② 空調・配線・インフラ整備状況
空調がない物件は導入費用で約50〜100万円/台がかかる場合があります。インターネット回線の光回線対応可否や、**コンセントの数（10㎡あたり最低3口以上が理想）**もチェックしましょう。また、電気容量が20A未満の物件は業種によっては不向きです。
3. 専有面積とレイアウトの実用性
例えば、10坪（約33㎡）のテナントで飲食店を開業する場合、客席部分に約6〜7坪、厨房に2〜3坪、バックヤードに1坪を確保する必要があります。内見では以下の点も確認しましょう：
-
搬入動線の幅が最低90cm以上あるか
-
天井高が2.4m以上で圧迫感がないか
-
トイレの位置が客導線と干渉していないか
特にレイアウト変更が難しい構造（例：RC造の躯体直下）では注意が必要です。
4. 騒音・臭気・振動などの環境面
浜松駅周辺のような繁華街では、外部騒音レベルが60〜70dB（普通の会話〜騒々しい事務所レベル）となることが多く、静かな空間を求める業態では防音工事が必要です。また、近隣に焼肉店や工場がある場合、臭気のレベルが通常の飲食基準（10オルファクト）を超えることも。内見は平日・休日、昼夜の2回以上行うと実態を把握しやすくなります。
5. 看板・広告スペースの有無
浜松駅前のテナントビルでは、建物の看板設置可能面積が1m²以下に制限されている場合があります。また、**看板使用料（月5,000〜20,000円）**が別途必要なケースもあるため、**ビル側の看板使用ルールや周囲の視認性（角度や照明の有無）**も確認しましょう。建物正面の間口が3m以上あるかも集客に影響します。
6. 駐車場・駐輪場の整備状況
浜松市は公共交通機関よりも車利用が中心のため、**物件に最低1〜2台分の駐車スペース（幅2.5m×奥行5m）**があるかは大きな選定要素です。もし敷地内にない場合でも、**周辺のコインパーキング（浜松中心部で相場は30分100〜200円）**の空き状況や距離（徒歩2分圏内が理想）を確認しましょう。自転車利用が見込まれる業態であれば、駐輪場10台以上設置可かもポイントです。
7. 管理状況と貸主・管理会社の対応
エントランスや階段などの共用部が週1回以上清掃されているかや、**ゴミ出しルールが明確か（例：曜日指定・分別有）**など、日々の運営に直結する要素も忘れてはいけません。また、管理会社や貸主の対応スピード（問い合わせから48時間以内の返信が理想）や、内見時の説明の正確さも重要な判断材料です。
まとめ｜内見は事業成功への第一歩
浜松でテナントを探す際には、内見は単なる「見学」ではなく、ビジネスの成功可否を見極めるための実地調査です。立地の相性、建物の状態、周辺環境、インフラ、管理体制といった観点を、事業コンセプトに照らし合わせて総合的に判断することが重要です。
不安がある場合は、地元の不動産会社やテナント専門のコンサルタントに同席してもらうのも有効です。より良いスタートを切るために、ぜひ今回のチェックポイントを参考にしてください。